2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

かつてフランスにはレジュメ社という会社があったのだと聞きました

ペルソナという言葉の孤独感とレジュメという語感の華麗さに関して誰かと小一時間論じたいくらいなのだけれど、そういう感覚を共有してくれるひとがいるのかどうかもわからないので、いまだ実現したことはない。だいたいペルソナのどこが孤独なのかとかレジ…

神様相手のなんでも屋

あんまり好きじゃない、というより、積極的に嫌いですらある人から送られ贈られたシクラメンを玄関のニッチに放りっぱなしにしておいたら、ちょっと酷いことになっていた。花茎の一つにひっかけられていた、「この品種は肥料を多く必要としますので云々」と…

さよなら犬

赤信号で並んだ車の助手席の開いた窓から、小型犬が哀切をきわめた声で、ひぃんひぃんとあまりにしつこく訴えかけるので、訴えかけられるわたしも、小型犬を膝にのせた隣の車の助手席の女の子もなんだか少し困ったようになってしまった。あの鼻づらと耳と胴…

月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日それから安息日のテュリャ

毎日がただの曜日でしかなくなっていた。月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日それから土曜日日曜日そうしてまた月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日ささやかな赦しの安息日土曜日日曜日つづくつづくおわらない。わたし大丈夫なんだろうかってそう思う。だけどそう思…

夕暮れる

緩んだ寒さがもとに戻りかけていた。あと数分後には夕暮れ始めそうな気配に満ちた世界を斜め左に眺めながら郵便ポストの鍵をあける。夕刊紙がひとつことリと落ちてきた。硬質な風にのってずっと向こうの眼下の街から街宣車の流す何かの歌が聞こえてくる。音…