2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

リヤカーと猫

賑わう商店街のアーケードを抜ける少し前のところに、そのリヤカーは何かの商いでもするかのようにごく自然な感じで置かれ、何かなと覗き込めば、その上に積み上げられたたくさんのダンボール箱の一番上の段に並んだうちの蓋を取られたひとつの中に、赤い紐…

大阪に行った。

大阪に行った。楽しかった。楽しかったのは主に通天閣とその界隈。それと道頓堀とその界隈。 印象に残ったのは道を教えてもらった警察官が当たり前みたいに「戎橋」のことを「ひっかけ橋」って言ってたことと、あの子がミナミの繁華街を歩きながら「こんな…

ホワイトアウト

エンジンをかけようとふと右下に目をやって、何これ?って、視界の片隅に入る白くて四角いものをまじまじと見つめたら、いやだこれって本来洋服の裏側についてるはずのタグでしょって、服を裏返しに着てるのを気づいたり、いつも無意識にだって当たり前に左…

密度の変わる瞬間

夢はどれもこれもがごくありふれた日常の風景のようでありながら、ひどくどろどろした悪夢として記憶に残り、朦朧とした目覚めの意識の中、脳蓋にしつこくこびりつき、綿々と続く呪詛から逃れることはないのだというほのめかしのようだった。それは唇の端に…

ハードボイルドのことを

何か何かを忘れているなとふと思う夏の夕間暮れ、盆休みに入ったどこかの会社の駐車場に中学生の群れが自転車に跨りたむろして、俺先輩とは関わりあいたくないんだよねなんて静かな薄暗がりの中に響いて聞こえた。揺れるお年頃。大変そうねなんて同情するや…

たとえばの反省

つまらないことで苛々し続けの一日であった。ということは、つまらないことしか起きない平凡な一日であった。ということは、平凡なのが一番、大過なく過ごせた、まぁまぁな一日であった。ということで、つまりは今日一日よき日であったということなのであっ…

宗教の人々

朝2杯目のコーヒーを飲んでいたらインターフォンがピンポぉ~ンとやけに静かに確信的に、余韻を持ってなるので、ああこれはと思い受話器を取ると、果たして宗教の人々だった。 「以前にもその冊子はいただいたことがあるかと思うのですが、残念ながらあまり…