2010-01-01から1年間の記事一覧

白い屑

たとえば、黒い服に白い屑がついている。そういうところがダメなんだと思う。洗濯するときにはちゃんと目の細かいネットに入れて洗っているのに、それでもいつの間にか白いものがついている。それはきっとわたしがダメだからつくんだと思う。ダメな人マーク…

冬の寒さにごまかして布団を温かくして消えるように眠る

風が強く吹いたせいで思い出さなくてもいいことを思い出した。たとえ思い出さなくてもいい思い出であっても、自分の幼かった頃の思い出はまるで自分の体温のように親しくて、どうにも断ち切れそうにない。思い出が頬にそっと触れてゆく。 冬の寒い夜の体温で…

あの子の生まれた日

今日はあの子が生まれた日だから少しあの子の生まれた日のことを考えようと思う。それがあの子のためになると思う。なればいい。きっとなる。きっとそうでありますように。神様どうぞお願いします。 馬鹿みたいに根拠のない考えだけど、それでもやっぱりわた…

次回は耳が開くの巻

実はちょっと眠たい。だけど寝ちゃうと死んでしまうかもしれない、っていうのは言いすぎだけど、たぶんは死んだように眠ってしまうだろうし、そうしたらすぐに朝がきてしまうだろうし。 時々は、人生から放り出されたみたいになってぽつねんとソファに腰掛け…

はんもん

図書館で借りた本にめったやたらと鉛筆でふりがながふってあって、興ざめ。とどめは煩悶の文字の右横に「はんもん」なんてまるでこれ、読めないのが世界基準!とでも言いたげに、自信満々正々堂々、臆すことなく鉛筆がきで振られた仮名が消されもせず残って…

あれこれ不可思議

絶版で中古書でも購入できない資料を借りるため、ずいぶん久しぶりに図書館へ行く。図書館なんておおよそ縁がないような非文化的殺伐とした毎日を送っているのだ・・・というのが物事の悪い方の側面。照りつける日差しや冷たい北風を避けるための屋根を求め…

一つの肉

雨ざぁざぁの駅前のロータリーであの子を待つ。待ちながらあの子のことを好きすぎる自分がつらくなる。だって最初は一緒のひとつの肉だったんだもの。

並列回路の電流がくたばれば、ご家庭の電気製品すべてが死にたえます

お祭りの花火と爆竹と神輿の掛け声と笛と犬の吠える声と風の鳴る音。それから手に持った切子のグラスの中でからから氷の鳴る音。お弁当用の冷凍食品の唐揚げ2個をつまみに梅酒を2杯飲んで、暮れかけてきた部屋の中、さあもうそろそろ洗濯物をたたんだり、晩…

夜のこと

秋っぽい虫がたくさん鳴いてた。開け放った窓から雨上がりの少し湿った冷たい空気がすうっと秘密めかした匂いで部屋に忍び込んでいた。ベランダから見上げた空は綺麗な漆黒の色に晴れていた。ずっと向こう片隅に申し訳程度のコントラストでグレーの雲がたな…

秋のパンドラ

なんだか急に朝と夜が寒くなってしまって、薄い肌がけにくるまりながら、こんなんじゃ追いつかないよなぁとか、冬の布団をそろそろ出さないとなぁとか、衣替えもしないとなぁとか。いやいやそれよりいい加減起きなきゃと、時計をちら見。ぎりぎりの攻防戦の…

あの子さえしあわせなら、それでいい。

雨上がりの空、屋上駐車場、灰色の空の西側だけが黄金色に輝き始めてた。ほら、綺麗でしょ。ここ日暮れの景色がいつもすごくきれいなんだよ。うん、きれいだね。 あの子と一緒にいろんな空の色を見てきたけど、なんだかこれっぽちも心に染みない空の色と絶対…

困る

一日というもののあまりのスピードに自分というものの身をどこへおいたらいいのかすらわからずに毎日を過ごす。何度も何度も書きかけてはあきらめた日記のどれもこれもが、いくら読み返しても自分のものとも思えず困る。

水道水

目視直径1メートルくらいの夕日を見た後、とっぷり暮れきった庭で水道の蛇口をひねったらすごい勢いで水が出てきた。出てきたから窓に庭木に玄関ポーチに車の窓にどんどん水を飛ばして、それから道路にも飛ばして、それでも飽き足らなくてホースの先端の真ん…

小腹のでかさ

この間、結構たくさん日記を書いたのに、運悪く消えてしまって、もうすっかり嫌になってしまった。運悪くって言うより、本当は多分わたしが悪いんだろうけど。自分の非を棚に上げて運のせいにするなんてあんまり褒められたものじゃないけど、この程度のこと…

クリップと10円玉

やみくろ対策に制服のポケットにはいつもクリップがはいってる。それと10円玉。

損な感じ

あの子が夜のドライブの時に聞いていたルパン三世をミーッとイジェクトしてビーチボーイズをミーッとインサート。呆れるくらい呑気で平和なハーモニー。間抜けさって時々世界を救う。 それにしたって、青い空も白い砂浜も、その彼方にある輝かしい未来も何も…

なにかになりはてる

ああなんて蒸し暑いんだろう。けして日にさらされることのなかった二の腕の柔らかな肉がぶるるとベランダで干しものを掛けるわたしの頬骨の横で揺れた。まるでやわでしょうがなく、こんなものがわたしの体の一部であるなどと思いもしなかったようなそんな肉…

ロシア小説の呪縛

どーもわたしの書く文章の一文が、めったやたらと長かったりするのは、一番精神のふにゃふにゃな10代の頃に、ロシアの小説が大好きでたまらなかったからだなということに、なぜか昨夜湯船に呑気につかりながら思いついたのだった。が、しかし、あれほど好き…

口つむる

かたつむりのように。でもかたつむりって口をつむっているんでしょうか、どうでしょうか。 聞きたくもないうえに、聞く必要もない話がどうしたって聞こえてくる。言葉のひとつひとつを無意味な音に変換しながら、ちんまりと地蔵様のようになって、黙って自分…

雀の奥さんめいてちーぱっぱ

バランスの悪さというものが、どうにもこうにも嫌い。 バランス、といっても、わたしなりの規範があって、それに従ってのバランスの善し悪なので、くだらないこだわりと言われてしまえばそれまでで、何一つ言い返すこともできないのだけれど、ああ、何一つ言…

面倒くさい

まるでバブルの頃のボジョレーヌーボー解禁日とそっくりなニュース映像だなと思った。本を納品にやってきたトラックを取り囲むマスコミ、やじうま、午前0時のカウントダウン。1Q84の話。 今日は授業参観。面倒くさい。

泥だらけの牛蒡

泥だらけの牛蒡を洗いながら、あんまり深くに沈み込んだ心にはどんな言葉も届かないんだよなぁ、きっと、って考える。この最後のとってつけたような“きっと”ってどこかいいわけじみてて、まるでわたしって人間の象徴、っていうか人拓、っていうか、ロールシ…

胡乱な奴め、春。

道路の真ん中に、おなかの中身を洗いざらい出しちゃった猫が寝転がっていたので、ああ生きていくってのも大変だけど、死ぬってことも大変だよなぁとしみじみ思う。わたしなんかあの猫の境遇に同情するくらいしかできない。なんか無力。 図々しくも風邪とか何…

あの子にまじに教えてる

神様っているような気がするんだよね、って言った先から、それにしたっているんならいるでさ・・・なんて夕焼けに向かって小石を蹴ったり、蹴ったつもりがスカンと空振りだったり、夕焼け小焼けだったり、小焼けって一体なんだよなんてもやもやしたり。なん…

雨が降れば困る人もいるのだろう。だけどそれだって、わたしにはどうしようもない。天気を操ることもできない。厚いカーテンに閉じられた窓の向こう側、雨の気配が夜を余計に深くする。 俺、雨が降ってるのが好きなんだ。安心して家にいられるような気がする…

疎外する日曜日

つけっぱなしのテレビからは押しつけがましい猫と家鴨が癒しの押し売りを繰り返していた。塩ラーメンの湯気の向こうに家鴨の嘴がゆがんで映る。 若い男が女が、若くない男が女が、美しいものが美しくないものが、憂鬱なものがにこやかなものが、それぞれの持…

それから飲みすぎないこと

世の中には、やっぱりたくさん不思議なことがあって、わたしが足の裏をくっつけて歩いてるその地面の裏側に、ぴったり足の裏をくっつけて歩いてるようなそういうような世界があって、だけどそういう世界があるっていうのを、こっちの世界のわたしは全然知ら…

おまえこれで十分じゃんの神様

視力が落ちた。両眼とも裸眼で1.5だった視力が、去年の年明けあたりから急激に落ちた。 「近視に、乱視もあります。視力は0.8くらいですね。眼鏡を作れば楽ですけど」眼科医が何やら受け入がたい宣言をした。違う違う、こんなのは一過性のものだもん。つくら…

つつましくて少し哀しい

干しものを抱えてベランダに出ると、妙に背の高い若い男のばか面が、通常では見えるはずもないあたりにふっと突き出ていた。2階のベランダの手すり越しのあの位置に顔が見えるとなると、おおよそ3メートル程の身長だろう。奇異に思いベランダの手すりにこた…

海苔のざらざら面にごま油と塩を混ぜたものを塗って炙ったものがつまみ

そんなには、わたしにできることなんてない。ないから仕方ないと思う。仕方ないから、冷たい月の出た冬の夜にも、ただ諦めて暖かい部屋でテレビを見て、暖かい布団にもぐりこむ。無力だなと思う。そうして思うことを自分自身、どこか免罪符にしているのかも…