2004-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ほとんど魔術だと思うのよわたし

隣の席の京都弁の彼が受話器片手に中国語で会話しだすともうわたしくねくねの軟体動物になってデスクに突っ伏し打ちひしがれてしまう。京都弁のうねりと中国語のうねりがうねりにうねってパーティションなんて軽々飛び越えわたしの席までやってくる。そうし…

冬の陽はもう翳りかけ

日曜日の動物園の自然史科学博物館で一人笑みを浮かべて掃除をしている青年。時折一般の来園者と同じように展示物をしげしげと覗き込みとても幸せそうに微笑んでる。彼の顔から微笑が消えることはなく、それは確かに彼が神様に選ばれた人間である証であるの…

鼻白む朝

ああ朝なのか朝なんだね。久しぶりにも雲ひとつない青い空が広がってるよ。でも寒いのかな寒そうだな。朝日が少し白々しいね。冬の低い朝日は道行く猫が急ぎ足なのと同じくらいの確立で白々しいんだ。そこが欠点。多分色が薄すぎる。薄すぎるのはまるで酸素…

ひまわりの種ちょうだい

ちっ。こんなことどうだっていいのにさぁ、ってそんな風によく思う。よく思うんだけどそういやどうでもよくないことって一体なんだったっけって考え出すともう頭の中は水仙月の2月みたいにぐるぐるに渦巻き風が渦巻いてすっかり途方に暮れてしまい夕焼けに向…

シュワシュワ

週末の夜は炭酸水。あたり一面しゅわしゅわな泡がはじける。琥珀の中に閉じ込められた古代の虫みたい。そんな風に永遠だといい。 少しだけアルコールも混ぜてみる。アルコールを加えてマドラーでかき混ぜるときらきらくるくるメリーゴーランドみたいにほら輝…

うきうき

冷たい風がほっぺを刺して耳が耳たぶのつけねからちぎれちゃいそう。ポケットから手が出せないから消費者金融のティッシュも真っ赤な転職情報誌も受け取れないよ。まだそんなに暗くないからほら月も形無し。色なし。面目丸つぶれ。 今夜はしょうが焼きにしよ…

それだけ

結局こんな日記ってでたらめだったりするんだけどね。適当に指先からでまかせ。表計算みたいにクリックしたままそのままを参照したりはしないんだ。だってねホントの心はでんでんむしの殻みたいにぐるぐるぐるぐるずーっと回っているからいつだってそこまで…

ちっ。

寒くて寒くてポケットに突っ込んだきりの手がつかんだものはいつかのコンビニのレシート。チョコレートとペットのホットレモンティー。そんなもの何の役にも立たないけど掴んじゃうんだ。どうしてだろう?だって他に掴むものもないから。ポケットはいつだっ…

しれない

あそこのインストアベーカリーのクロワッサンが売り切れてたからもう他に心当たりなんかありはしない。あとどこのお店のクロワッサンも卵がたっぷりはいってる。そんなこと考えて運転してたら赤信号がぐるぐるぐるぐる怒りに渦巻いて見えた。そう確かに時々…

ライ麦畑でつかまっちゃう?

えーっと、なんだかちょっとライ麦畑でつかまっちゃいそうな今日この頃です。 んで普通の話。 今わたしは職場のPCのスクリーンセーバーを新潮文庫のパンダくんにしています。ああ、男女共同参画社会の今日「くん」だなんて暗に男性と決めつけるかのような言…

あああたたかい

晴れた朝ベランダに出て高々と洗濯物を干し上げる。太陽の光を背に受けながらシャツの皺を伸ばしハンカチの形ををみごとな数学的手腕で正方形に整えピンチでつるし上げる。ふと気づくと太陽の光を受けたわたしの髪の一本一本が思わぬほど明るい栗色に透けて…

きり

こんなにもたくさんの雪が積もるのをこの街で見るのは初めてのことだと思う。長い間忘れていたけれど雪の単位には確かに「ひとひら」というものもあったのだ。雪はすべてを無音の中に沈めこむので今朝は新聞さえ取りに出るのも忘れ、暖かな部屋の中充分な明…

パイ? Pie? π?

冬の朝日は相変わらずスパークするように眩しくて到底まっすぐには見つめられないのだけど銀杏の木はもうすっかり葉を落としきってしまい敷石の上も木の枝もすっからかんで綺麗なもの。踏んづけられて破れた葉脈から染み出た黄色い汁で汚れたりなんかももう…

恋愛ではないのだ

ちょっぴりシュールでハードボイルドで、おまけにポップでキュートでその上ベリークールかつスタイリッシュなスノッブ系まるむし日記をしたためようとすると「彼氏募集中の女の子がいっぱい」だなんて耳寄り情報が得られちゃって何だか一挙両得円山応挙。う…

ある日森の中で熊さんに出会ってしまうララララ。

憎しみは限りなく普遍的で豊富にありすぎ惜しむことなく注ぐことができるのだけれどあんまり褒められたことじゃないのでまぁ適当にしとこうと思うのだ。 愛情はもったいないのであんまり人にあげないようあげないようけち臭く腕の中に囲っているのだけれどそ…

あの子に見えてわたしに見えないもの

以前からおかしなことを言うことがあるって思ってた。 ある時はなんとも奇妙な顔つきで走ってきて「ねぇ今男の人が玄関をあけて入ってきたよ」と。玄関には誰もいない。「誰もいないよ」って言うと困ったようにニタニタごまかし笑いを浮かべて「うそ」と一言…

団体旅行者とへっぽこの謎

わたしの住んでいるところはなぜだか海外からの団体旅行の人たちがよくやってくる。多分香港か台湾の人たち。みんな高価そうなブランドマークのついた鞄や洋服に身をつつみとても裕福そう。この街だとかその周辺の一体どこに見るべきものがあるのかは限りの…

ハードボイルドなのだピース

お昼休み。 前々から行ってみようと思ってたマッサージに行った。10分1000円、20分2000円30分3000円。 10分間プラスサービスで5分。 「どのあたりを重点的に?」 「肩凝りと偏頭痛と胃の不調を」 マッサージ終了後 「お客様の不調は実は胃ではありません。例…

知らない神様

駅で女の人とすれ違う。ペラペラの質の悪い奇妙なピンク色の短いダッフルコートにしわしわの冴えないフレアスカート。完全に時代からずれたスタイル。完全に世間からずれた顔つき。 その人は小学生の時いじめられっ子だったTさんにとてもよく似ていた。 私…

正月の朝薬局の女神は胃薬を売る

うぐぐぐるる。 荒れた胃粘膜の修復は思ったよりずっと難しい。 でもそんなこと教訓の押し売りが専売特許のイソップ童話のなかにさえなかったからわたしは気づかなかったのよ。 「朝起きた時に胃が気持ち悪いのは胃の粘膜がただれているからです」御宣託のご…

今日のわたしなんかほうき星みたいに意地悪い?

アフガンハウンドを散歩させてる人がアフガンハウンドの一千倍くらい胸を張って得意げに歩いていてそれがわたしを体の芯からぐったりさせる。 しなびた雌のガチョウみたいなおばさんがもうリビングまで入っていってしまった自分の子供を玄関まで呼び戻して「…

天蓋 星は降りかからない

空は平坦で四角な板でできてるんじゃなく本当に天蓋だったんだ。わたしの頭上にどの角度から眺めても見事な弧を描いた、地球の蓋のごとき天蓋がすっぽりかぶさっている。 両脇を畑と田んぼで囲まれたインターチェンジへ続く道は周囲360度ぐるりをずっと見渡…