2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

オープンしたてのスーパーマーケットからの帰り道、行く手の西の低い空にあんまりに綺麗で大きな星が光の筋を、バサバサのつけ睫みたいにぐるりに巻いて瞬いているから、なんだかわたし不思議な気持ちにそわそわして、ねぇあの星すごく綺麗って口に出して言…

ヒアカムザサン

いつだったか車の中でヒアカムザサンが流れてきた時「わたしこの曲がビートルズの曲の中で一番好きなの」って宣言したら「ヒアカムザサンか。でもこれってジョージハリスンの曲なんだよな」ってなんだかお定まりの台詞がかえって来ちゃって、それにしたって…

細い

ああねぇあの何もかもが細くなっちゃう病がずいぶん久しぶりにやってきた。握ったハンドルがすごく細い。手の、指の、皮膚の、指紋の、吸盤の感覚がおかしくなっちゃった。それでも仕方がないからハンドルを握ってロータリーをまわる。おかしくなっちゃった…

蟹を踏む

面倒くさい話し合いのために田舎へ行く。2件分の手土産を買い、誰も入ってもいない空っぽの墓に手向けるための花を買い、田舎へ行く。いつもと違い、父の弟に譲ることに決めた古い家にはもう立ち寄らない。長く誰も住む人もいなかった家の庭はきっと雑草が…

狭い

わたしはこう見えて意外に、ってか見えないじゃん、見えないだろうから勝手に言うけど第二段、こう見えて意外にそこそこ心が狭い。全国心が狭い選手権なんてものがあれば優勝、とまでは行かなくともそれなりに優秀な成績くらいは残せると思うのだけれどそれ…

9月14日

思えば、幸せが確かに自分自身の自分自身にかかるだけの問題だったあの頃には、笑ってしまうほどそれは単純明快でたやすいものだったのだと思う。自分だけが幸せになればいい。自分だけが幸せになる努力をすればいい。たとえ失敗したところでほんの少しがっ…

腹筋

炊き込みご飯と豚汁をしげしげ眺めて時折ふんなんて唸りながらゆっくりゆっくり食べてるあの子。あれ?美味しくない、って一人煩悶してたら急にあの子がわたしの顔を見て「ねぇお母さん、ボクが大きくなって結婚して家を建てたら、その家にお母さんも一緒に…

カシミアみたいな色をした

犬はなにを見てるんだろう。空だろうか地べただろうか。西の空が紅くなって暮れていくよ。通り過ぎる車の窓からそっと呟いて教えるけど犬は目を伏せ少し先の地面を見てた。寂しくはないの?優しそうな肩をした薄いカシミアみたいな色のラブラドール。潤んだ…

西へ帰る

台風が過ぎてったあとの空がいつの間にか夕暮れ。西の空の最後のところで顔だけ残して頑張ってる弱った金色の太陽が雲の端に映えて不思議な茜がかった黄金の色に光ってる。こことは別の世界があってひねくれもののロビングッドフェロウくらいなら住めるんじ…

腐る

プリントアウトされたパワーポイントの資料をエクセルにつくりなおしてそれからカラフルなドーナツグラフをひとつ棒グラフをふたつ折れ線グラフをひとつつくる。メールに添付して送信したらコーヒーをすすりながらちょっと休憩する。朝から何度おくっても話…

日曜を

好きな歌を何度も何度も繰り返しリピートで聴いていた夏の終わりふいにどこか遠くへ行けるような気がしてきてたずっと昔に忘れてしまった何かを思い出せそうな気がしてきてたクローゼットの奥にしまいこんだままもう二度と使わないと思い込んでいた埃まみれ…

おでんくんがはじまりましたので

花は桜木人は武士。だけど最近武士だねぇっていう男なんて見たこともない女もない。大きなぶよぶよ芋虫が世界の覇者になる日も近いらしい。そういう噂。 めっきり秋。夕暮れはじめた途端に虫の声でいっぱい。涼やかな夕暮れの秋の風はどんなすさんだ街にも心…