2004-01-01から1年間の記事一覧

それからねじを巻かれてぐるぐる回る

全部ちゃらにしてまたあたらしく回りなおし。一張羅の燕尾服を着込んだハムスターの管理人が張り切って一年分のねじを世界中のメリーゴーランドを使ってぎりぎりぎりぎり巻いている。途中でねじがきれちゃわないように。 せっかく回ったのに、なんて青い地球…

パペットマペットだらけ

予約しておいたケーキを取りに行く。大晦日なのに拍子抜けするくらい道は空いていてこの世界に何か異変が起きてるのかもと少し心配する。そういえばさっきまでのほんのしばらく、雨降りなのにおかしいほどに眩しい太陽が照りだして本当にばかされてるんじゃ…

ジッパ・ディー・ドゥー・ダー

昨日で仕事納め。出勤前にあの子を母の家へ送ってゆく。道はとんでもなく空いててすいすい走れる。あの子が、ねぇあしたからおやすみなんでしょ?って言う。わたしが、そうだよって言う。それでなんだか二人とも嬉しくなってちょっと笑う。お休み前のうきう…

遅く帰ってきた人と月

昨日の夜は満月だったのかな。カレンダーにそう書いてあった。 遅く帰ってきた人を迎えに駅に行った帰り、家の前の駐車場にとめた車からとてんと降り立って、乾燥した冬の夜の空気にパタンと白々しい音を響かせながらドアを閉める。 「雪が積もってるみたい…

かぼちゃスープの日

そうだよかぼちゃだよ、とか何とか言いながらかぼちゃスープをスプーンですくって一口ちょっとスィート。「システムが停止しました。再起動させてください」なんてつれないメッセージだけ残してあとは真っ黒けのディスプレイが書きかけの日記をすっかりのみ…

12月の朝

ベッドに入ったとたんあっけなく眠りに落ちていったあの子の手をそっと握り小さな声で3回名前を呼んでみる。腕の筋肉がぴくぴく少し痙攣する。眠っていてもわたしの声で呼ばれたじぶんの名前に脳が無意識に反応しているのかな。じぶんが確かにこの子の母な…

それ誰?

FMラジオから流れてくるクリスマスソングに思わずダウト!って言いたくなる。でもカレンダーはクリスマス。街にチープトリックなサンタがあふれてる。そういえばクリスマス。ケーキ作らないと。 「髪の毛茶色いね。染めてる?」美容院に行くと必ずそう言われ…

日常

ぱんと乾いた衝突音。事故。右折車と直進車。多分非が多いのは右折車。フロントがぐしゃっとつぶれた車を隅に寄せ降りてきた直進車の若い男の人に右折車の運転手はなぜか車に乗ったまま降りようともせずに謝っている。直進車の助手席から降りてきた少し年か…

魚の骨みたいにばらばらになる

ホッチキスの針で積木。 頼まれた仕事が出来たのでできたと言う。あまりに速すぎるともの凄く驚かれる。あんまり驚かれてびっくりする。それから自信がなくなる。何か勘違いしてきちんとできてないのかなって。でも勘違いじゃない。それでいい。少し安心する…

あれはロマンスだったのかな

さてとコーヒーをもう一杯。 まだエンジンをかけたくない日曜の朝、漫然とテレビ音声を背中に聞きながら冬の朝の日差しに寒いとか薄っぺらいとか白々しいとか無責任な悪態をついてるとなんだかコーヒーがおいしい。4杯目。うちの幸せの塊はとてもおしゃべり…

殴る

あー殴りたい。一回殴りたい。一回殴らして。殴りてぇー・・・とかなんとかぶつぶついいながら宅急便の箱にガムテープを貼るそこそこバイオレンスなわたし。晴れ時々怒る。よく怒る。ぬるいくせに威張った男が嫌い。いつまでも怒ってても仕方ない。帰り支度…

キーボードが汚い

標記の件に関してでございますが・・・さんさんと輝く明るい朝日の中でまじまじと自身のパソコンのキーボードを見たらばあまりの汚らしさに驚愕、この際しばしご歓談でもして気づかぬ振りを装いすべてをなかったことにしてしまおうかな、闇に葬り去ろうかな…

ぎょうざ

そうか疲れてたんだ。久しぶりの一人ぼっちの朝、車の窓から差し込む朝の光に心がほぐれてやっと気づく。自分がいつの間にか疲れてて、リップクリームを塗り忘れた冬の陸上部員の女子中学生の唇みたいに心がささくれ立って荒れてたってこと。低い朝日の眩し…

それから

結局、神様は一人取っていった。 昨日という日を終えるために、どうしてもひとつの命が必要だったのだろうか。 一人が屋上からのダイブを思いとどまったちょうどその頃、そこからそんなに遠くないところで一人が唐突にぽんと車に撥ね飛ばされる。理解できっ…

毎日普通の一日

毎朝、上司宛の郵便物の整理をします。親展以外は開封しDMとそれ以外のものに分け、それからさらにDM以外のものをその重要度に応じてそれなりの位置にセッティングしてゆき、できるだけ速やかに目を通してもらえるよう努力します。だって不必要なものはさっ…

眩暈

高校生の頃。三島由紀夫好きで絵がとても上手だった少しペダンチックな男の子がある日突然電話をかけてきて「お前って人の考えてることが普通の奴よりわかるだろう」って言ったから「別にそんなことないけど」って答えた。 超能力者じゃない。人の心の中なん…

ぬるい

時々、いっぱい話しすぎて疲れちゃう。別に話したくなんかなかったみたいな気がするのにね。ゆるんで輪郭が崩れてく。ゲル状になる。ぬるい感触。 わざと視点を定まらなくした目でぼんやり街路灯と信号を眺める。テールランプってどうして赤いんだろう。 F…

いっそぼうぼう焼けちゃえばいい

帰り道、駅前のパチンコ店。切れかけたネオン管が死に損ないの冬の蝉みたいにジジジジ貧乏臭い音をたててた。工事のせいで狭くなった舗道を自転車に乗った女子高生達がわたしをひき殺したいみたいに少しもスピードを緩めずに走り抜けてく。駅へ通じるデッキ…

しいたけ的わたし

しいたけ的休日。リラックスしすぎて時々思わずかさが開いちゃう。かさが開くと胞子が飛んじゃう。飛んでった胞子たち、どこか適度な温度の水分と栄養分の整った環境を見つけてしっかり生きていくんだぞ。こっそり応援。 ネットウインドウショッピングにも飽…

朝電話でそう言った

ハムスターが死んだ。朝電話で母がそう言った。今日の朝起きてみたらもう死んでいた。そういえば最近あまり餌を食べなかったと、母がそう言った。 仕事が終わってからあの子と一緒に母の家に行く。車の中であの子にハムスターが死んでしまったことを伝える。…

はたらく

なんだか今日の空はいろんな形の雲が入り乱れてて不思議な空だなってコピーをしながらこっそりブラインドを揺らして窓の外をのぞいてみる。交差点に面して斜めに切られたビルの角から道を見下ろす。デパートの紙袋を提げて舗道を行く人。小走りに横断歩道を…

指差してあの子に教える

夕焼け空が好きなのはなんだか紅いから遠いから何かの終わりでなにかのはじまりだからちょっと寂しくてそれから後でわくわくしてくるからあの夕焼けの際の向こうの世界の裏側は朝やけなのかなって思うから。夕焼けの次にやってくる夜は銀色だから。 月を見る…

陽のあたる部屋

暖かいななんて思いながらころんと転がってそのままうとうとしたり伸びをしたり足の裏のマッサージをしたり。誰からも思い出されずすっかり忘れられたまま、何の用事もなく行くべきところもなく積もり積もった雑事もすっかり反故にして電話もドアフォンもた…

幸せになってゆくたびに

まるで一人分みたいに見える小さなケーキの箱をもって横断歩道の信号が変わるのを待つ夕暮れ。こうしていつだってこれでよかったのかなって少し足元を見る後ろを振り向くきっとこれからずっとそう。幸せになってゆくたびに何か残してきたものを犠牲にしてき…

きっといろんなものを見落としている。そう思うレンタルビデオ店帰りの日曜、朝の車窓。信号でとまった時前に伸びる港へと続く道路の微かな湾曲の具合とかずらりと並んで永遠のふりをしてる街灯のかもし出す数学的ロマンとか。 少し時間を速くまわしすぎてる…

土曜日。明日は日曜日

「こんにちわ。あなたの日記を読んでるうちになんだかとてもほかほかの肉まんが食べたくなってしまいました。どうしてといわれてもあまりうまく説明できないのですが、二行目の最初の『なんだか、そんな気がしたのです。』という部分の句読点の具合がそう思…

おおむねはとむね

駅。駅前の広場で鳩の群れを見る。 鳩。灰色の土鳩のなかに一羽だけの白く綺麗な鳩。 美。集団の中でぬきんでて美しいというのはそれはそれでつらいことなのだろう。想像。 自己の美という矜持に対峙し続けてゆくのは鳩だって並大抵なことじゃないに違いない…

ハッピーエンド

帰りの車の中あの子が今日の観劇会のお話をしてくれる。なんだかよくわからない。でももちろん最後はめでたしめでたし。 「そうかじゃぁハッピーエンドだったんだね」って言ったら「なに?ハッピーエンドって」 「うーん、ハッピーエンドってね、悲しい終わり…

おかえりなさい

ずる休みして家でごろごろしてたら彼女からメールが来た。小さな女の子がうれしそうに息を切らしてかけてきたように踊る文面。そこには遠い異国の青い空や綺麗な海の色がそのまんままだ彼女の周りに特別な空気として巻きついているみたいで、つるんとして素…

遊園地

遊びつかれてホットカーペットの上にごろんと横になってチュッパチャップスなんか舐めながらテレビを見てるあの子の横に、「ねぇ隣に寝転がっていい?お母さんもなんだか疲れちゃった。」って一緒にごろんとする。それからそっと額をあの子の頭にくっつける…