2004-09-01から1ヶ月間の記事一覧

クールミントガム

念のためケータイの番号を、っていわれてちょっとドキッとする不謹慎な自分に少し笑う。 あんなにも色々考えて手を尽くしてくれる彼にどうしたら感謝の気持ちが伝えられるのかわからず結局いつもと同じ「ありがとうございました」と言うだけの自分が少しさび…

草枕

水はいつだって低い方へと流れていく。それが自然のならいなら低いほうへと流れてゆくのも必要なことのかもしれないけどでもそうして汚れて澱んでいくのはなんだか少し悲しくて切ない。きれいだったものが汚くなってそれからだめになっていく。そんなのずい…

毛虫

玄関のすぐ脇の、もちの木にいつのまにか毛虫がついていた。玄関の鍵をかけ車へと歩くほんの少しの間に、ポーチにかかるまで伸びた枝先の葉に気づかほど微かに腕が触れたのだろう、一瞬のちくりという感覚の後、その部分が見る見る赤く腫れあがっていった。…

どっちでもいいけど

節穴みたいな目をつけた子供たちが群れになって歩いていた。いやだなと思った。 人のいろんな思念がどうもその人の肩越しや頭の周りに陽炎のようにもわもわと立ち上っているような気がして、できるだけそれにあたりたくないと思うのだけれど避けて通るのは残…

スクリーンセーバーが動き出す

駅前のコンビニに入ろうとして空を見上げる。あ、雨。空を見上げるわたしを見てコンビニから出てきた女の人も空を見上げる。空なんか見上げても見上げなくても雨は降ってるのよって、その人に教えてあげたくなる。教えてあげたくなるけど、でも黙ってる。 あ…

お天気雨

曇り空からお日様が顔を出したと思ったとたん、お天気雨がパラパラと地面を打ちならし降り出した。少し涼しい風がまだつる下げたままの簾越しに部屋の中まで入り込んで、今朝は4杯目のもう温くなったコーヒーを飲みながら懐かしい風景だなと思う。お天気雨は…

時には力強い現実であるといい

迷信を恐れる人は反面現実を恐れなくなるみたいだ。今、目の前で起きている恐ろしい現実の出来事より、実際に起きるかどうかすら甚だ怪しい迷信のほうをずっと恐れる。そういうのは現実の前での自分の無力さを思い知ったときの、よくできた精神の平衡を保つ…

くるりとまわって

街中を不意に走る用水路の脇に露草が咲いてた。露草は美人画のよう。もう9月。 街路樹のイチョウは緑の葉を茂らせて、いつかの冬にはきっとすべての葉を黄色く染め舗道じゅうに落葉する。それまでは時折の風にザワザワ吹かれ無邪気を装うだけ。 駅前広場のア…

夜の空はおかしな縞模様だった。

あの日、駐車場に車を入れて見上げた夜の空はおかしな縞模様だったっけ。 確実に近づく台風の予兆をはらんだ破壊のエネルギー渦巻く雲が、幾筋にも空をよこしまな様子で這いまわっていたし、その隣には奇妙に晴れ渡った静かな空がブラックホールめいて黒々と…

神様週末です。

ぐらぐら揺れて揺れて揺れて何もかもを根底からひっくり返して台無しにしてそれからもう一度はじめるチャンスをくれればいい。でもだめ。やっぱり地震はこわい。テーブルの下に逃げ込んであの子の体に覆いかぶさってどうぞこれ以上揺れが大きくなりませんよ…

ニュース

この世界は随分と悲しみに満ちているらしい。悲しみから目をそらすためにチャンネルを変える。 この世界は随分と感動に満ちているらしい。でもわたしには届かない。見ているうちに余計世界が悲しみに満ちてきそうな気がしてチャンネルを変える。 この世界に…

大切な

少し、じゃなくてとても大事なことをしなければならなくてしばらくはそれで頭がいっぱい。こんな大切なことにこれまで気がつきさえしなかった自分に呆然。素直に頭をたれる。 朝出勤前身支度を整えながら鏡を見る。あんな大人になりたくないって、10代の頃思…