2004-08-01から1ヶ月間の記事一覧

好んで見る

今はどんな言葉も安易過ぎてあまりによそよそしく、簡単に言葉にしてしまうことが怖い。言葉にしたとたん神様がへそを曲げてそっぽを向いてしまいそうで、それでいつもどおり何事もなさそうな顔をして時間を過ごす。人間の証明を好んで見る。

明けない夜

明けない夜はない?比喩としては上出来、希望に満ち満ちた言葉だけれど明けない夜があったらどんなにかいいだろうと思って眠りにつく人のパーセンテージってそんなに少なくないはず。でも時間は律儀無情公平傍若無人無邪気な振りしてよくやるよ的女顔負けに…

石鹸

野暮ったい眼鏡の太った女の子が電信柱の横で散歩中の飼い犬の頭を何度も膝で蹴っていた。なにが気に食わないのか、犬が何か不始末でもしでかしたのか、ただでさえ不器量なその顔は下卑た怒りの表情で益々不細工に見え、多分もともとは白かったのだろうその…

湾岸道

眠ってる猫がピンク色の舌べらの先をほんの少し口から出してたからいたずらに触ってみるでしょ、そうすると慌ててしまうぺロって。でもしばらくして眠りこけた猫はまた舌べらを出してくる。出してくるからまた触る。慌ててしまう。それを何度も繰り返すその…

オレンジ

銀色のケースに詰め込まれたオレンジ色の小さな口紅を買う。 未婚の友達からのメールを読む。彼女は職場の人間関係がうまくいっていない。彼女自身の仕事の要領がひどく悪いのが原因だ。以前一緒の職場にいたから容易に想像がつく。そんなことはわかりすぎる…

時代

8月8日。帰り道。FMラジオ。 「ぼくは恋なんかしてない」10ccが切なげな嘘を繰り返してた。 それからいくつかの古い曲。 思い出が入り混じり錯綜し、どの曲が自分が過ごした時代のものなのかもうわかりもしない。だから考えない。 思いでは頼りなげで足元も…

Key Word.

キーワードは何を代表しようとしている?何を象徴しようとしてしている? その白抜きの長方形の検索バーに打ち込まれた言葉はもうなんだかわたしからすっかり離れてしまっていつかの早朝しらけた顔で咲いていた紫の朝顔の花のように他人の顔で澄ましているけ…

今日は終わり

梅酒オンザロック。 母から梅酒を一瓶もらった。 母のつくった梅酒の大きな壜を運んだおかげで、車に乗り込むと焼酎と氷砂糖と梅がミックスされたいいにおいがして仕方ない。壜の周りがべたべたしていたからきっと少しこぼれてそのあたりに染みこんでるんだ。…

公園の敷石の上で仮面ライダーみたいな腹を見せながら、いくつもの蝉が仰向けに転がっていた。もうすっかり死んでしまってるから何匹じゃなくていくつで十分。 蝉は呆れるほど闇雲に羽化し、それからあっけなくこてっと死ぬ。見事な死にっぷりだから、あんな…

シュガートースト

どんなことでもある程度長い期間続けていかないといけないことがあるとして、それをなんとか続けていこうと思うなら、時々はそれに関する諸々を自分の中でリセットしてあげないと。溜まりすぎたキャッシュをサーッと掃除してゴミ箱に捨てて、それからバター…