2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

苺ジャム製バーコード

コーヒーを飲みながら、わたしはカオリに夢の話をしてみた。カオリは、まだ眠いのか面倒くさそうにコーヒーをすすりながら言った。 「何度でも見る夢なら、わたしにもあるよ。なんかドグラマグラみたいな感じの、いやに毒々しい田舎の山道みたいな景色で、で…

鬱屈としたミルフィーユ

それにしたってわたしはこの同じ夢をいったい何度見ているんだろう。どうしてこんなにも何度も同じ夢を見るんだろう。悪夢にも近いこの夢はいつもどろどろとした眠りとともにやってきて、少し紗のかかったレンズを通して見たような異様な原色に彩られている…

二酸化炭素の日曜日

それからソファの上に仰向けに寝そべると、お腹の上に両方の手を乗せ筋肉の動きを手のひらに感じながら「ふぅっ」と天井に向かって息を吐く。こうして腹式呼吸をしながら息と一緒にお腹のそこに溜まっていたものを吐き出すとなんだか何かに一区切りつけられ…

蜆とあさり

蜆はどちらかというと人が、というか貝がいいので水につけた途端口をあけ、自らの身体の一部をだら~んと貝の隙間からのぞかせビラビラと水の中を漂わせて全く馬鹿のようなのだけれど、それに比べてあさりはひどく疑り深い性質で塩水につけても容易には口を…

メール

わたしは元気。こんなことあるとちょっとへこむけどね。いつ会えなくなるかわからないね。生きててもこの先会うこともなかったかもしれないけど、まさかあの子のお通夜に行くとは思わなかった。なんだか生きるモチベーションが低いわたしが生きてて申し訳な…

三半規管上のロッドスチュワート

三半規管のちょうどくるると巻いたあたりで朝からずっとロッドスチュワートがしゃがれ声で歌い続けてる。タイトルすら思い出せない曲のサビの部分を延々と。そうしてそのうちにそのしゃがれ声はいつの間にか搾り出すようにサマータイムの最初の部分を歌いだ…

フルーツグラノーラ

曇り空の片隅のほんの少しの雲の切れ間に、微かな水色の空を見つけたのだけれどそれが希望なのか虚無なのかよくわからないのでわからないままにしておく。どうせすぐに忘れてしまう。 チキンスープがお腹を暖めてくれるからそんなには不幸じゃない。スープの…

ベクトルは同方向

一日の三分の一くらいは微生物のことを考えて生きてる女の子っていうのが世の中には意外にたくさんいるんだってこと。それが最近の発見。 冷凍庫を掃除したついでに取り出した保冷剤が融けだしてばきばき音をたてる。一年くらい前からずっとポケットの片隅で…

のどみみずきん

喉をやられた耳も痛い。そうかそうだったのか喉と耳は宿主のわたしをこっそり裏切り不義密通のうえかくも恐ろしき策略陰謀をめぐらせ純真なるわたしのピンク色の細胞を攻撃せしめんとあの悪名高き風邪ウィルスをこっそりわたしの体の中に招きいれたのだそう…

苦手

孔雀はメイオウって鳴くの。ずっと前にそう本で読んだの。メイオウメイオウ。あそこの家は孔雀を飼ってるんだよ。だけど今は夜中だから眠ってるのかもしれない。全然鳴き声が聞こえない。そういえば船で渡ったあの島にも孔雀がたくさんいたね。孔雀が百万の…

天使は賭場から来たらしい

実は最近とっても忙しくて忙しくて日記書いたり読んだりでんぐり返ったりV字バランスしたりする暇すらない毎日だったんですそうなんです、だとか何とかそんな告白はいらないことにしてるんだっけそうだっけ。 じゅうがつですじゅうがつです。白い羽に白い衣…