2003-11-01から1ヶ月間の記事一覧

熱いコーヒーとこんがりのバタートーストのことで頭がいっぱい

朝だ。 朝はいつも潔癖で 決して気まぐれを起こさず 誰か一人だけを贔屓することもなく 白けた慇懃無礼さで すべての人のもとを訪れるので 時々は人を困らせるのかもしれない 別にわたしは困らない。 夜寝て朝妄想するから。 最近あんまり歩かない。 わたし…

ナイーブなんかじゃありえない

昨日の朝出勤途中に見た子猫は今日の朝にはもうだいぶ原形をとどめなくなっていた。すっかり雨にも濡れていたし、何度かはよけ損なった車のタイヤに踏んづけられて、昨日最初に見かけたときのふんわりした体のフォルムはもうなくなっていた。片側二車線の道…

嫌な夢とちゅうちゅうシュプレヒコール

嫌な夢を見た。たくさん見た。目を覚まして枕を裏返したりたたいたりおまじないもしたけど、それでもやっぱり見た。たくさん見すぎたからもうみっつくらいしか思い出せないけど、夢でなきゃ絶対思いつけないくらいへんてこな恐ろしい世界だったことは確か。 …

ねぇもう雨は行っちゃったのかな?

きれぎれになった夜の黒い雲の隙間から光が微かに透けて見える。あそこに多分月があるんだ。 「ねぇ、どうしてお月様はずっとあとをついて来るの?」 「お月様はねぇ、きっとまき子のことが好きなんだよ」 そんなやけにくすぐったすぎる思い出をどう扱ったら…

古い歌と白ハツカネズミのセールスマン

古い歌を聴くと何だかぞろぞろいらない思い出までもが恥ずかしげもなく行進してやってくるのでちょっと困る。いやいやよくよく考えてみると果たしてわたしに何か思い出なんていえるものがあったのだろうか?それすら定かじゃないのにそれでも何だか奴らはぞ…

まるで恋愛小説

「君と一緒だと、すごく自然な感じがする」 そう言いながら手品のような手つきでホットコーヒーに銀色の小さなピッチャーでミルクを注ぐ。カップの中の褐色の液体が静かに揺れて白いミルクが渦を巻きながら地獄に沈む天使の羽さながらに奥深く吸い込まれてい…

ってわけで大人なのです

風の強い夜は子供のころに戻って頭まで暖かい布団にもぐりこみたい。ぐるぐる真ん丸の団子虫になって自分の吐く息にほっぺを湿らせるの。ぴゅうぴゅう吹きまくる風の音と階下から聞こえてくる大人たちの話し声やらテレビの音やらにそっと耳を澄まして。 でも…

もみじ祭りの帰りに西の空を見て缶コーヒを飲む

「もみじ祭り」って言ったって別にもみじはお祭りなんかしていません。ひっそり寡黙に木の枝にとどまっていたり、石の階段でかさこそしていたり。当たり前です。 「空いてますか?」ってとりあえず手近な私設有料駐車場の入り口に突っ立ってるお兄さん二人に…

気前のいい神様と割烹着を着た猫

今朝も寒い。でも風はなく窓越しの陽の光が暖かい。天気のいい冬の朝には神様だって意外に気前がいいところを見せたりもする。 近頃猫たちはわたしの家へ寄り付かない。玄関ポーチで日向ぼっこもしてないし、家の庭にうんちをしに来た急ぎ足の猫に、門の前の…

今朝も猫は急ぎ足?

朝からセサミストリートなんか見てハートウォーミングな休日の朝。ネスカフェゴールドブレンドラベル側面印字の「おいしいつくり方」を参照に及びエクセレントなインスタントコーヒーをごくごく飲む。 冬の空がやって来た。空が高くて陽の色がうすいでしょ?…

雨が降ると人間は傘でしかなくなっちゃうのね

ねぇちょっと疲れちゃったから休憩しない?なんて誘い合ってわたしたちコーヒータイムなの。一番窓際の眺めのいいカウンターの背の高い椅子に腰掛けて、ブラインドの隙間から外を見る。今日は雨、だから窓の下には信号待ちの歩行者がいっぱい。みんな傘をさ…

アフターエイトのビールの泡の中

雨上がりの濡れたアスファルトに今日最後の西日が眩しく跳ね返りまともに前が見えないからもしかしたらこのまま対向車にぶつかって死ぬのかもなんて、ほんとは全然そんなこと思ってもないけど思ってる振りしてみたり。 それにしたって西日はきれいで、いつで…

明日にも色褪せ何の香りも残さずさようなら

頭痛。ずつう。片頭痛。「変」ではないのね、なんてそんなことにも感動したころもあったっけ。 それにしても色褪せる。色んなものがどんどん次々色褪せる。色褪せ。 深く深く鮮やかに心に焼きついた色は人の心に密にうずくまり、それから年を経、色褪せ河原…

だって大人だから。うふ。

まだ昼でもないのに、ラーメンにわかめと葱をどっさり入れてつるつる食べる。 ああもうこんなしいたけ的一日を過ごすのも今日で終わりかとしみじみしじみ汁を飲んで肝臓をいたわろうかと、そう思う秋の日になにやら謎の再放送TVドラマで「彼ならわたしのこと…

ビールの泡の中に住まう象を

この季節の西日は とても眩しく黄金の色に輝いているので それはたぶん、確かに 今日一日を生きた人間へ 神様から与えられる報酬に違いなく わたしもそれを受けるべき人間として 西日に包まれ それから夜の闇に拡散してゆく。 ビールの泡の中に住まう象をし…

リズムとグルーヴの目くらまし

いやだなぁ。 FMラジオからうんざりするような歌が聞こえて来た。 疲れちやうから行けるとこまでしか行かないけど 行けるとこなら駐車場が限度らしいよ。 だったら、どこへも行かなきゃいいのに。 そのベクトルが正の方向性を持っていようが 負の方向性を持…

卵を茹でたりしているだけなのさ

結局は わたしにわかることなんて この世の中にはほとんどないのだ。 ないのだ・・・だなんて 80年代的あつかましさで そう断言してみたりする。 そんなことはもうわかりきっているんだよワトソン君 探偵ホームズは霧のロンドンでパイプをくゆらす。 どこ…

お湯が沸くまでの数分の間に

たとえば インスタントコーヒーを飲むために湯を沸かす 枝豆を茹でるために湯を沸かす お湯が沸くまでの数分の間に 人は一体どれだけのことを考えることができるのだろう? こんな季節にも傍若無人に咲き誇る 朝鮮朝顔の紫がかった藍の色 藍色は堅い沈黙 曇…

今日わたしたちは凧をあげた

今日わたしたちは凧をあげた。 夕暮れ空、埠頭の広い公園の ずっと続く芝生の上で。 凧は港の風を受けて高く高く舞い上がり 駐車場の営業車の中 時間を潰しに余念のない サエないおじさんたちでさえ 車を降りてわたしたちの凧を褒めに来た。 あの子は体にぐ…

1980年代の「なのだ」

「~なのだ。」 なーんていう言い回しは やけに80年代ぽくって 赤くて艶やかなりんごみたいに ぴっかぴかの矜持に満ちすぎているので ちょっと取り扱いに注意が必要。 「なのだ取扱主任資格一級」保持者でなきゃ うまく使いこなせない。 だからわたしは「…

しとしと雨と休日の動物園

「ねぇ、わたしのこと捨てないで」って かよわい振りしていつまでもしつこくまとわりつく したたかな女(男も?)みたいに しとしと降り続きやがる今朝の雨。 それにしたって 休日の動物園は 世界中の謎を一堂に集め 他に行き場のない家族連れやらアベックや…

コーヒーがない

しまった。 コーヒーがない。 空っぽだ。 朝のコーヒー飲まないと 妄想から立ち直れない。 わたしの頭の中で アルプスの少女ハイジの格好をしたコヤギが アルプス一万丈の小鑓の上で ニコニコこっちに向かってハンカチを振りながら アルペン踊りを踊り狂って…