2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

口笛

ハンドルを握りながら「悲しくてやりきれない」を口笛で吹いてたら、あの子が「もう口笛吹いたらいけない時間なんだよ」っていうから、「ふ~ん、あんなの嘘。本当は泥棒も蛇も来ないよ。お行儀が悪いからそういうだけ。吹きたかったらいいんだよ」って知ら…

覚醒する瞬間

たとえば、「今日わたしは餃子を作った」という言葉が「今日ママンが死んだ」というのとそれほど変わらないくらい熱く焼かれた砂のように救いようもなくさらさら落ちてゆく毎日なら、ざらざらとした粒子の粗いフィルムをみるようになだらかさのない一連の動…

雷がどんどんぴかぴかしているうちに、とうとう雨が降り出した。最初はぽつぽつと、けれどもすぐにそれは本降りに変わり道行く人は慌てたように傘を斜めに差しかざし足早に歩いてゆく。わたしは随分と頼りない子供の心になりはてて立てひざを抱えるように簾…

今年の夏はただひたすら。

ごはんですよのCM鬼太郎バージョンのことが頭から離れず、はたと気づけばあのどうにもこうにも笑ってしまう目玉親父と鬼太郎の顔を思い出し思い出し、そうこうするうちに夏は過ぎてゆくのだろうと覚悟すれば、耳から黄色い汁が出そうなほど今日も暑く、とお…

酔いさまし

“こんなこと言うと叱られちゃいそうだけど、最近よくK君のことを思い出します。” そう書かれた彼女からのメールを読みながら、どうしてK君のことを思い出すとわたしに叱られそうなんだったっけかなってしばらく考える。高校卒業と同時 に、それまで付き合っ…

夏期休暇

夏期休暇。本当は今日はカレンダーでは出勤日になっていたのだけれど、期末8月の土曜日なんてただの年間出勤数の帳尻合わせに過ぎないんだからもう昨日のうちにどうしてもっていう仕事だけぱぱぱのぱぱぱで当然のごとくに有給。有給とって明日からドバイに…

生きない

相変わらずメールはかえってこない。海で高波にでもさらわれて二人ともくたばったのに違いない。時間つぶしだけが目的で入った駅ビルの無印良品で、きっと自分は、このお菓子の袋をこじ開けてその場でむしゃむしゃ貪り食うんだろうとふと思った。頭がいかれ…

追いつかない

「千の風になって」という歌の歌詞を聴くと、ああこれは残され生きているものにとってこの上ない甘美な免罪符なのだろうなそう思う。この歌の歌詞は誰もが例外なく抱くに違いない、ごく近しい故人(それはたいていの場合先立った妻、夫、子、親)に対する負…