本当はわたし誰のことも好きじゃないのよなんてまじめな顔でペンギンのぬいぐるみに話しかけてことりとも響かない、ひとり。もう５日間くらい譜面台の上にひらきっぱなしになってるピアノの教則本の挿絵のグラデーションになった緑。それから沈み込みたくな…

大事な話をしたいのにって思っても大事な話って意外に話すのが難しい。大事にしすぎて余計難しくなっちゃって難しすぎるから結局話さずにすんじゃって、それでなんだかそれが大事な話じゃないみたいになっちゃって、いつもいつもどうでもいい話ばっかりして…

あんまりきつくないカーブのところで少しスピードを緩めて車を左によせて道を譲ってあげる。追い抜きざまにハンドルから離した左の手をそれぞれにひらひら振ってそれから膝小僧をすりそうなくらい体を倒してかっこよくカーブの向こうに消えてった。何台もの…

いいもーんだ、みのもーんた。クレヨンしんちゃんの放ったこの台詞がわたしの魂を深く揺さぶったのはほんの数日前のことです。 それからわたしは「いいもーんだ、みのもーんた」的に生きることを運命付けられた気がするのです。 いいもーんだ、みのもーんた…

赤信号でスピードを緩めた対向車線のワンボックスカーのサンルーフから、まるで世界中が待ち望んでいたヴィーナスの降誕みたいに、ゴールデンウィークで混み合う車列のすべての人たちを意識しながら、若くて頭が悪そうなお洒落な女の子たちが二人、風になび…

嘘！と驚くくらい厚切りのチープアンドリッチな豚こまをチルド室から取り出して、半分くらい残ってたこくうまキムチと拍子に切った人参大根それからまいたけをオリーブオイルを熱した地獄のような中華なべでぐわんぐわん炒め最後に小口の葱と刻んだ紫蘇をぱ…

エレファントカシマシの今宵の月のようにとアナログフィッシュのスピードとSTANCE PUNKSのノーボーイ・ノークライの3曲を尻尾を飲み込む銀色の蛇にかけられた永遠の呪いみたいにしてオールリピートで聴いていたらなんだか10代の頃のわけのわからない虚無感と…